アート・文化
陶芸ファン必見!ろくろ体験、窯元見学、作品ギャラリーなどイベント多彩!岡山の伝統工芸イベント「備前焼まつり」/岡山県備前市
岡山県の伝統工芸品「備前焼」とは?
備前焼は岡山県の伝統工芸品で、瀬戸、越前、常滑、信楽、丹波、備前の「日本六古窯」の中で最も古い陶器の一つ。釉薬(ゆうやく)を使わず、土そのものの自然な色や模様、質感を楽しめるのが特徴です。
釉薬は陶器の表面を覆うガラス質で、強度と光沢を与える役割があります。一方、備前焼は釉薬を使わず、土を焼き締める独自の技法により、素地本来の発色や風合いを味わうことができます。
焼き上がった作品はどれも一点物でシンプルながら存在感もバツグン。備前焼は丈夫で割れにくく、お皿、マグカップ、湯呑みなど安心して日常使いできる上、毎日使うことで風合いが増して「味」が出てくるのもポイントだそうです。
JR伊部駅前に作家&窯元の作品が集結!
備前焼まつりの会場はJR伊部駅前。駅から伸びる「炎の里大通り」周辺には、焼き物販売の特設テント立ち並び、50を超える作家の多様な作品に触れることができます。お皿やマグカップ、キーホルダー、お茶碗など、正直どの作品も素敵すぎて目移りしてしまいます。手に取っては戻し、また手に取っては戻し…特設会場だけで1時間はあっという間に過ぎてしまいます。
「炎の里大通り」には、室町時代から続く窯元・桃蹊堂があり、レンガの煙突が雰囲気たっぷり。2024年第40回の1日目はあいにくの雨でしたが、タイムスリップしたようなレトロな街並みにワクワク感が高まっていきます。ちなみに街中を見渡してみると、いたるところにレンガの煙突が!「煙突のところに窯元あり」なので目印になりますね。
価格は、小さな雑貨で数百円からありますが、個人的におすすめなのが備前焼ガチャ。いろんな窯元がガチャを取り入れていて、ワンコインでおちょこやキーホルダー、箸置きなどの雑貨がゲットできます。何が出てくるかのお楽しみに加え、中には高価な食器類が当たるくじ入りもあって、ドキドキ感がたまりません!
ユニークな恐竜&動物ガチャも!こちらは「備前焼 陶吉」のオリジナルガチャで、備前焼で恐竜!?と思いましたが、ぷっくり丸々したフォルムと愛らしい表情に気づいたら500円玉を投入!飛び出てきたのは、トリケラトプスでした。見るからにもう、かわいい♡全種類集めたくなるシリーズです。
備前焼作家の工房で「登り窯」を見学
備前焼販売の特設会場以外にもお楽しみがあるのがこのお祭りの魅力。歩行者天国となる「町屋通り」「備前焼本通り」には窯元による直販のほか、お茶会や体験コーナー、作品展示会などのイベントも開催されています。
窯元の中には工房を見学させてもらえるところもあります。今回見学させてもらったのは備前焼作家の原田陶月さんの「登り窯」。ドーム型の窯が印象的で、窯の中も覗かせてもらえました。火入れをすると約1,200℃くらいになるそうです。焼いている際の様子は写真で見ることができました。
火入れをする前の陶器がこちら。
そして焼き上がりの作品がこちら。火入れ前と後の違いを見学できるのは面白いですね!
人気の「電動ろくろ体験」で作家気分を満喫!
原田陶月さんの工房を後にイベント会場へ移動し、体験コーナーで電動ろくろに挑戦。見るだけでなく実際に器作りを体験できるのは嬉しいですね。しかもレクチャーしてくれるのは備前焼の作家さん。
実際に土に触れてみると、スライムのようなブニブニとした感触。形成する前は思った以上に硬くて、水を足しながら手を添えてろくろを回していくと徐々に土が柔らかくなっていきます。ある程度器の形になってきたら、少しの力加減で変化してしまうのでちょっと難しい…。ただ、作家さんのサポートもあり予想以上に綺麗な仕上がりに!完成した器は、火入れをして数ヶ月後に自宅に届きます(有料サービス)。ろくろ体験だけなら無料でできました。
歩行者天国は出会いがいっぱい!
備前焼はもちろん、歩行者天国を歩けばさまざまな人、モノ、カフェ、景観に出会えます。この日、海外から備前焼を学ぶ留学生が露店で接客もしていて、ライター魂から「YOUは何しに備前へ?」とプチインタビュー!お二人とも欧州出身で「デザインについて勉強していて、自分の国には備前焼のような文化がなく、土や登り窯、伝統技法などがすごく珍しくて備前に学びに来たの。1ヶ月半備前に滞在する予定よ」と話してくれました。せとうちの文化の魅力が世界に広がっているんだな〜と実感しました!
続いて出会ったのは再生備前シリーズのRI-CO(リッコ)。割れたり欠けたりして流通しない作品や廃棄品となる陶器ごみをコーヒーカップにアップサイクルしたものです。
写真を見ていただいたら分かるかと思いますが、リサイクルとは思えないほどのクオリティとデザイン性。備前土のもつ成分や、素材表面の細かなざらつきがコーヒーをまろやかにするといわれています。
廃棄される備前焼に新しい命を吹き込む取り組みはまさにSDGs!持ち手があるマグカップと湯呑みタイプがあり、どちらもコーヒータイムが映える!…ということで両方お買い上げしました^^
備前焼本通りに見逃せないスポットを発見!「天津神社」です。屋根や塀をよ〜く見てみて!なんと備前焼を使用しているのです。まさかのここにも!?という感じですが、神社と備前焼が調和していて見事。こちらの宮司さんが備前焼作家さんと聞いて納得です!説明石碑には「全国的にも稀少な江戸期の年銘が入った備前焼の宮獅子が安置されている」と記載があります。
しっかり歩いたらカフェでひと休みしたいもの。会場周辺の飲食店は備前焼で提供しているところがあるので、せっかくなのでコーヒーやラテは備前焼でいただきましょう。重厚感あるマグカップで楽しむカフェタイムは一味も二味も違いますね。和洋折衷の映える雰囲気はSNSにあげちゃうパターン!見て、おしゃれでしょ♡
備前焼に触れて、購入して、味わって大満足の1日。毎年数万人が集まる大人気イベントなのも納得です。いろんな作家の作品があり、どれも世界に一つだけのものばかり!陶器に興味のない人も、このお祭りに行くと陶器ファンになっちゃうほど楽しめるイベントです。
会場へのアクセスは車も電車もOK!
何事もイベントを楽しむには下調べが重要。特に遠方から行く場合、交通情報は把握しておきたいもの。備前焼まつりへアクセスは、車でも公共交通機関でも可能です。県外から車で山陽自動車道を利用する場合、和気ICまたは備前ICが最寄り。会場近くになると…予想通の渋滞。期間中はかなり混雑するので、渋滞を想定して余裕を持って出発するのがオススメです。
無料の駐車場は市内のいくつかの場所に合計で約1,500台分が用意されていました!これは嬉しいポイント。会場付近までシャトルバスが出ている駐車場もあり便利です。待ち時間もあまりなくスムーズに到着できるのは、車利用者にとってはありがたい!
公共交通機関を利用する場合は、JR岡山駅から臨時列車が運行している上、会場がJR伊部駅の目の前なので、車の渋滞や駐車場探しのストレスを避けられます。イベント期間中は歩行者天国になるため車での移動は制限されるところが多く、結果として時間がかかりがちです…。特に県外から来るなら、電車やバスでゆったりと行くのがベストかもしれませんね。
*2024年10月取材の内容です。最新情報を確認してお出かけください。
関連地域
岡山県
旅に出たとき一番気になるのはお天気ではないでしょうか。日本で一番雨の日が少ない、「晴れの国」岡山県。瀬戸内海特有の穏やかな気候は、農業や産業だけでなく岡山の文化も育ててきました。江戸時代からの町並みを残す美観地区、made in japanのジーンズが注目される繊維の街。鷲羽山から雄大に延びる瀬戸大橋や、牛窓から見下ろす瀬戸内海は息を飲むほどの美しさです。まさにハレの気分で岡山を歩いてみてください。