自然
まるで中国の「桂林」!西日本随一の絶景スポットへ。広島の秘境「三段峡」で峡谷トレッキング/広島県安芸太田町
王道コースは正面口から!三段峡随一の絶景「黒淵」を目指す!
三段峡といえば「三段滝」のイメージが強いのではないでしょうか?三段峡は全長約16kmにも及ぶ西中国山地国定公園内にある大峡谷で、透明感のある渓流、ダンジョンのような岩のトンネル、巨大な露岩や懸崖など、さまざまな峡谷美が凝縮された場所。峡内を全制覇するには1日では足りないほどの神秘と魅力にあふれた場所です。そこで「1日で見どころを制覇したい!」という方のために、三段峡随一の絶景「黒淵」を目指す峡谷トレッキングコースをナビゲートしちゃいます🎵
三段峡への入口は複数あるのですが、正面口からのスタートが王道です。まずはトレッキングファッションをチェック! 遊歩道が整備されているので普段着で訪れる方が多くいますが、奥へ進むにつれて細く滑りやすい箇所、危険な箇所が増えていくのでスニーカーはマスト。また、服装は動きやすいストレッチ性と防水性の高い素材がおすすめです。スマホも渓流へ落とさないようにショルダーストラップ等を準備しておくと良いでしょう!
入峡前にまずは腹ごしらえ!囲炉裏で焼いた名物の串だんご(1本税込350円/高丸商店三段峡本店)をぜひ。甘辛い味噌味の大きなだんご3兄弟…焼き立てのおいしさはもちろん、見た目以上にボリューミー(笑)。1本食べれば往路分のパワーを十分チャージできます!
※4月から11月まで営業。12月から3月は冬季休業
お団子を食べたら正面口から黒淵まで向かいます。看板等には片道2.7km、約50分と記載がありますが、写真を撮ったり、寄り道をしたり、紅葉を鑑賞したり…正直50分では辿り着きません(笑)。往路だけでも2時間くらい余裕を持って行くイメージでいましょう。また、三段峡は「森林セラピー基地」として認定されています。森の香りや自然の音を感じながらゆっくり歩くだけで、体全体が心地よく癒されていきます。
黒淵に向かうまでのルートに見どころが多数あるのですが、私が気になったスポットは2箇所!!一つ目は、正面口からちょうど中間地点くらいの場所にある「赤滝」。
こちらは様々なメディアやブログでも取り上げられる有名なスポットです。みなさんが注目するだけあって、峡内においても異質感を放つ唯一無二の滝。赤レンガのような岩が積み重なってできていることから赤滝という名前になったそうです。三段滝や二段滝などは遠目からしか見ることできませんが、赤滝は遊歩道すぐそばで見ることができる上、実際に触れることも。水は冷たく、汗をかきながら歩いて来た際のクールダウンのスポットになりますね。
続いて、二つ目は「岩のトンネル」です。ダンジョンの入口のような雰囲気にワクワクが止まりません。ゴツゴツとした壁面、低い天井からひたひたと落ちてくる水滴、異世界へ続くような道。不思議なフォトスポットでもあるので意気込んで写真を撮ろうとトライしましたがうまく撮れず(汗)。この雰囲気は伝わるかな〜、伝わらないかな〜、伝わってほしいな〜。
黒淵までは緩やかなアップダウンの遊歩道が続くため、途中休憩できるようにベンチも設置してあります。先を急がず疲れたら休憩も大切。紅葉シーズンになれば山全体が色付き、360度見渡す限り黄色やオレンジの景観に包まれます。紅葉を楽しみながら歩くとあっという間に辿り着きます。
死ぬまでに見たい絶景!黒淵荘で渓流ランチも
今回の峡谷トレッキングの一番のお楽しみは黒淵を水面から楽しむ渡舟です。毎週金曜日から火曜日の10時から16時30分の間運行(毎年紅葉シーズンは毎日運行)。片道税込300円。お金は番頭さんに手渡しというアナログな感じの風情がたまりません。
舟上で番頭さんの説明を聞きながら約10分の遊覧。天候が良い日は水深7m下の川底までしっかり見えるほど透き通った清流を見ることができます。
紅葉シーズンは黒淵荘から乗船できる片道のみ実施されているそう。ここまで来たからには乗らないという選択肢はありません!ということで、さらに遊歩道を歩いて黒淵荘の渡舟場へ向かいます。
黒淵付近に到着すると、遊歩道のアップダウンが急に激しくなります。山道を登って降って。足がガクガクブルブルしながらようやく「黒淵」に到着!
さて、みなさんここからは写真をじっくりご覧ください。こちらが黒淵です!高さ100mにおよぶ絶壁にエメラルドグリーンの水面…なんという美しさでしょう。まるで中国の桂林を思わせる風情あふれる絶景です。
静かで時間が止まったかのような空気が流れ、心穏やかな気持ちになります。ちなみに黒淵とは、岸壁に囲まれた静かで川の流れが緩やかな場所で、最も深い部分の水が黒く見えたことからこの名前が付いたとされています。
渡舟場の近くにある「黒淵荘」でランチも兼ねてひと休み。せっかくの渓流に来ているので、人気No.1メニューの「山女魚の串焼きとおむすびセット(税込1,000円)」をいただきます。山女魚は渓流の女王と言われるほど美しい魚で、冷たく綺麗な水質の場所にしか生息しません。囲炉裏の炭火で竹串に刺して贅沢に焼きあげた山女魚を三段峡で味わうこの贅沢さ! 串ごとワイルドにかぶり付いて食べるのが黒淵荘流です。
お食事セットの中にお店イチオシの「三段峡豆腐」も付いていました!「地元、戸河内で昔から愛され食べられている」と記載があり、地元ならではの特産品までいただけるのは嬉しいですね!他にも、猪肉の入った「黒淵カレー」や「うどん」など、この黒淵荘でしか味わうことのできないメニューが揃っています。
復路コースは渡舟または遊歩道のいずれかで元来た道を帰ります。秋の三段峡は日が暮れるのも早く、黒淵荘は15時までには出発した方が明るいうちに入口まで安全に戻れます。黒淵往復コースを歩く際は帰りの時間から逆算し入峡することをおすすめします。
「三段滝」「二段滝」への最短ルートは水梨口!
「三段滝や二段滝だけ見たい」「体力に自信がない」という人は、最短で行ける水梨口ルートからがベスト。水梨口の駐車場からいずれも片道約30分程度で行くことができます。三段峡を欲張りたい場合は、黒淵往復コースの前後に、水梨口ルートから三段滝や二段滝へ訪れるスケジュールを組むと1日で見どころ制覇が可能ですよ!
水梨口から三段滝に向かうルートは黒淵のような迫力満点の景観は少ないのですが、石畳の遊歩道や巨大な岩、ジブリアニメ「もののけ姫」に登場する木の精霊「コダマ」が出てきそうな古い樹木やコケ岩など、のどかで静かな景観が続きます。歩く時間も短いので高齢の方やお子様連れの人には最適なルートです。
遊歩道は原生林を縫うように作られているので、災害などにより一部が崩れていることもあります。危険な場所には案内があるので十分に注意を。また山道を歩くので時間の経過と距離感が分からなくなってしまいがちですよね。「三段滝まであとどれくらい?」と思ったら足元を見てみると距離が示してあるので確認してみてください。距離感が分かると俄然やる気になりますよ(笑)。
三段滝に近づくにつれて少しずつ聞こえてくる水の轟音。胸の高鳴りの最高潮でお目当ての「三段滝」に到着! 滝の正面には観賞用のスペースが整備されていてポスターでお馴染みの“あの絶景”の大パノラマが広がります。三段滝は上段8m、中段8m、下段10mあるそう。雪の結晶のように小さな水しぶきがこちらまで飛んできて、マイナスイオンのシャワーを全身浴びている気分になります。写真は午前中の様子。ちょうど滝の部分が山の影にかかるので、太陽が真上にくる時間帯が一番美しいのかもしれません。
カメラよりスマートフォンの方が綺麗に撮影できます。
もっと迫力のある滝を見たい方は、滝壺の近くまで降りてみて。水の透明感や太陽が反射して水面がきらきらと輝く風景も見ものです。「三段峡、上から見るか横から見るか」。視点を変えるだけで迫力の感じ方がまるで違いますね。滝壺は約10メートルの深さがあるそうなので落ちないように気をつけて!
二段滝も水梨口からのルートから行くのが最短です。約1.6kmの道のりで三段滝同様片道30分ほどで到着します。二段滝へは細く狭い岸壁の間をロープ伝いに進む猿飛渡舟に乗らなければ行くことができません。渡舟が岸壁に当たりそうで当たらない…スリリングなアトラクションのような遊覧が体験できるのがポイント。猿飛は黒淵とは全く異なる雰囲気で秘境中の秘境とも言える場所です。この日は通行止めのため猿飛と二段滝には行けませんでした(涙)。写真はありませんので、みなさん実際に行って確かめてみてくださいね!
水梨口の近くにある草原の山「深入山」でプチ登山も!
水梨口の近くには山全体が草原に包まれた独立峰の「深入山」があります。標高1153mで、なだらかな登山道を歩いて約1時間で登頂が可能。山頂からは遠くは大山や三瓶山まで見ることができるそう。午前中に三段滝または二段滝へ行き、午後深入山という巡り方もいいですね!
取材日は絶好の秋晴れ。あたり一面を覆いつくす黄金色のススキの中には小道があり、SNS映え!言うまでもなくフォトジェニックな景観です。写真や動画を撮らずにはいられませんよ!深入山は毎年4月に山焼きが行われ、夏は新緑、秋はすすきや紅葉、冬は雪景色と、どの季節に訪れても魅力的です。ハイキングシーズンに三段峡と合わせて出かけてみてね!
春夏は三段峡でウォーターアクティビティを!
三段峡は冬のシーズンを除き、それぞれの季節で様々な楽しみ方があります。特に最近はウォーターアクティビティが盛んで、カヤックやシャワークライミングなどの体験が充実。夏は涼を楽しむアクティビティに挑戦してみてはいかがでしょうか。※ヨガポーズは私が勝手に渓流の中でやってみただけのものです!
関連地域
広島県
「嚴島神社(宮島)」と「原爆ドーム」という2つの世界遺産を有し、国内外から多くの旅行者が訪れる広島県。広島風お好み焼き、牡蠣、レモンといった定番グルメから、化粧筆の代名詞ともなった熊野の筆づくり、かつての軍港の姿を残す呉の街並み。根強いファンが多い地元球団やサッカーチームの観戦も見逃せません。また近年では、サイクリストの聖地「しまなみ海道」や、連なる島々を飛び石に見立て名付けられた「安芸灘とびしま海道」など多島美景観を実際に体験・体感できる観光も人気です。