グルメ・おみやげ
備中&備後の味を極める一杯! “深化”する瀬戸内のご当地ラーメン/中華そば 備州屋(岡山県笠岡市)
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- 地域
- 岡山県
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- フォトライター
- by 瀬戸内Finder 編集部
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- 最終更新日
- 2022年03月24日
産業や農漁業、文化、気候など様々な要素が詰まった味は、その土地を表現するもの。なぜその味が生まれ、その地に根付いたのかに思いを馳せずにはいられません。ご当地グルメ「笠岡ラーメン」のまちで、新たな“地の味”を生み出している店を訪ねました。
食べてその地を思い出すご当地ラーメンを提供
『備州屋』(びしゅうや)は、20年以上に渡りイベントなどで笠岡ラーメンの普及に携わってきた奥村弘良さんが、食に対する持ち前の好奇心と探求心を発揮して作るラーメンが味わえる一軒。
提供されるのは岡山県西部から広島県東部にかかる、備中&備後エリアの味。地元産の肉や魚介、野菜、果実など、食材にもこだわったひと味違う一杯が楽しめます。
笠岡クラシック
古くから養鶏業が盛んだった岡山県笠岡市の地ラーメンは、全国的にめずらしい“オール鶏”。
きりっとした醤油味の「笠岡クラシック」(650円)は、鶏ガラスープ100%、煮鶏のチャーシュー。そこに斜め切りのネギ、メンマがのったスタイルが笠岡ラーメンの基本系。柑橘の香りがアクセントになっています。
中華そば笠岡(醤油)
伝統的な笠岡ラーメンのスープが鶏100%なのに対して、「中華そば 笠岡(醤油)」(700円)は、かつおぶしを加えたダブル出汁。
スープにかつおぶしを投入してひと煮立ちさせることで深みのある味わいに。すっきりとした鶏ガラ醤油スープに魚介のコクがプラスされています。スープの表面に膜がはるくらいゼラチン質が豊富で、食べると唇が艶々になるほど!
煮鶏
低温調理でしっかりと味がしみ込んだ鶏チャーシューは、親鶏ならではのコリコリした食感が特徴です。噛めば噛むほど旨味が増してクセになりますよ。
とんこつ福山
笠岡の隣、広島県福山市の名を冠した一杯はとんこつラーメン。
福山はとんこつ?と思うかもしれませんが、確かに福山にはとんこつラーメンの店が多いということに改めて気づきました。“地の味”の表現ということで奥村さんが至ったのは、「大きな製鉄工場があって、九州からたくさんの人が働きに来ていた歴史がある福山で親しまれた味=とんこつ」。なるほど!
こちらではラードを一切使っていないので脂は控え目。たっぷりの頭骨を使用したあっさりかつ甘みのあるスープが低加水の麺によく絡んで美味しい!
スープの隠し味にドライトマト、トッピングには福山産の豚バラ肉、生のマッシュルームや香りづけに散らしたポルチーニ茸など、「とんこつ」に合わせて“山(土)”のテイストが凝縮された一品です。
中華そば尾道
広島県のご当地ラーメンといえば、尾道ラーメン。
鶏ガラメインのスープに背脂が定番ビジュアルですが、一般的に最後に加えることが多い背脂をこちらではスープと一緒に煮込んでいます。それにより背脂自体にも味が付いて、スープに甘みや深みが出るのだとか。
麺はスープとの相性を考えてあえての太麺。トッピングの豚肉チャーシューには脂の少ないウデ肉が使われています。これがあっさりしているのに甘みがあって美味。
ラーメンごとに仕入れ先も異なる麺
太さや加水の量など、笠岡、福山、尾道それぞれのラーメンに合わせて麺も使い分けられています。各スープに最も合う麺を追求して、仕入先も変えているそう。
3地域のラーメンのほかに、旬の食材を使った「本日のスペシャル」もあるので要チェック。笠岡産の鯛やエビ、寄島産の牡蠣などを使ったラーメンが期間限定で登場しています。
訪ねるタイミングによって何に出会えるかはお楽しみ。店主の繊細かつ大胆なアレンジが効いた、“深化”するご当地ラーメンを味わって。
瀬戸内Finder編集部
※感染症対策に配慮した上で撮影を実施しています。
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岡山県
旅に出たとき一番気になるのはお天気ではないでしょうか。日本で一番雨の日が少ない、「晴れの国」岡山県。瀬戸内海特有の穏やかな気候は、農業や産業だけでなく岡山の文化も育ててきました。江戸時代からの町並みを残す美観地区、made in japanのジーンズが注目される繊維の街。鷲羽山から雄大に延びる瀬戸大橋や、牛窓から見下ろす瀬戸内海は息を飲むほどの美しさです。まさにハレの気分で岡山を歩いてみてください。