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非日常の絶景を体感する“徳島の秘境”旅行プラン/徳島県三好市

非日常の絶景を体感する“徳島の秘境”旅行プラン/徳島県三好市

“秘境”とは「外の人が足を踏み入れたことが少なく、あまり一般に知られてはいない地域」のこと。徳島県の祖谷(いや)地方は、岐阜県の白川郷、宮崎県の椎葉村と並ぶ“日本三大秘境”の一つ。実際に訪れたことのある人はまだまだ少ないのでは?

今回は“日本の秘境100選”でもある祖谷の魅力を満喫するとっておきのコースをご紹介します。

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徳島市からひたすら西へ。吉野川中流域に位置する大歩危小歩危(おおぼけこぼけ)を過ぎ、険しい山道のカーブが増えてくると、いよいよ祖谷地方に入ったという実感があります。

大きくは“西祖谷”と“東祖谷”に分かれており、おおよその境界線は祖谷のかずら橋あたりでしょうか。西日本第二の高峰剣山(つるぎさん)へと近づくにつれ、どんどん景色がダイナミックに変化していきます。

秘境に暮らしてきた一族の歴史を知る民俗資料館(平家屋敷民俗資料館)

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祖谷地方は度重なる敗戦によって都落ちした平家一門が落ち延びた場所の一つだといわれています。

こちらの『平家屋敷民俗資料館』は、安徳帝の御典医だった堀川内記を初代とする堀川家(現・西岡家)代々の屋敷を民俗資料館として開放したもの。三好市の重要文化財に指定された母屋・蔵は、1867年(慶応3年)に建てられたもので、母屋は重厚な合掌造りの茅葺屋根、蔵は土蔵で、厳しい自然に耐えてきた風格のある佇まいです。

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2021年9月、今まで以上に見やすくなるように館内展示物をジャンル別に展示してリニューアル。150年以上にわたって一族が遺してきた貴重な民俗資料の数々は圧巻。鎧兜や旗をはじめ、巻物や民具など、それぞれに重ねられてきた年月の重みが感じられます。

「ゴールデンウィークやお盆、それから紅葉の時期は混み合いますね。四季折々の美しさがありますので、それ以外の時期もおすすめです」とスタッフの実弥さん。

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茅葺き屋根を維持するため、今でも囲炉裏に火を絶やさない『平家屋敷民俗資料館』。来館のタイミングが良ければ、そんな情緒あふれる光景も見ることができるかもしれません。頭上を見上げると、そこには真っ黒に燻された合掌造りの屋根裏が……!

庭には樹齢800年ともいわれる“金もくせい”と“銀もくせい”があり、それらをフォトフレームに見立てて山の景色の写真を撮るなど、建物や展示物と並ぶ名物となっています。ぜひ一度、立ち寄ってみてくださいね。

数々の伝説が残るシラクチカズラで編まれた橋(祖谷のかずら橋)

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祖谷地方でもっとも有名な観光スポット、それはやはり祖谷のかずら橋ではないでしょうか。過去に【瀬戸内Finder】でも取り上げていますが、どんな橋なのかを簡単におさらいしておきましょう。

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国の重要有形民俗文化財に指定されている『祖谷のかずら橋』は、約5トンものシラクチカズラという植物で編まれた吊橋です。

全長は約45メートル、幅は2メートル、祖谷川の水面から約14メートルの高さに架けられており、「さな木」と呼ばれる丸太や割木の床面は通常の橋とは異なり、かなり間隔が空いています。

「平家の落人がつくった」「空海がつくった」など、由来も謎に満ちていますが、スリルあふれる観光スポットには違いありません。かつては13本が架かっていたそうですが、今は奥祖谷の二重かずら橋と合わせて3本しか残っていないそう。いずれも渡るときはスマートフォンなどを落とさないようにご注意ください。

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『祖谷のかずら橋』を渡った先には、平家の落人たちが都で暮らした日々の栄華を思い出しつつ、琵琶を奏でたという『琵琶の滝』があります。パワースポットとして知られるこちらは、その美しさから『とくしま水紀行50選』にも選定。徒歩で滝壺のすぐ前まで行くことができる点も嬉しいポイントです。

道中に立ち寄りたい絶景(ひの字渓谷)

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約20キロに渡って険しい山々が連なる祖谷渓のなかでも、絶景として知られているのが通称『ひの字渓谷』。大きく蛇行する川の流れが平仮名の「ひ」の字に見えるところからその名がつけられたといわれています。

取材時は天候が今ひとつでしたが、それでも迫力ある景色を一望できました。有名なビュースポットではありますが、道沿いに小さな看板があるだけなので、見落としてしまわないように。

見逃せない! 祖谷名物の彫刻(祖谷渓小便小僧)

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『ひの字渓谷』からは車で5分程度。祖谷街道最大の難所“七曲(ななまがり)”まで上がると、そこには崖っぷちに『祖谷渓小便小僧』と呼ばれる彫刻が設置されています。

徳島県出身の彫刻家である河崎良行の作品で「地元の子どもたちや祖谷街道の作業員などが度胸試しで放尿した故事にちなんでつくられた」という説が有力です。

ちなみに台座にはお賽銭のように小銭が供えられているのですが、今まで約200メートル下の谷底へどれだけの金額が落下したのかも気になります……。

疲れを癒やす秘境の展望風呂と露天風呂(和の宿 ホテル祖谷温泉)

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『祖谷渓小便小僧』がある“七曲(ななまがり)”を抜けると、すぐに見えてくるのが 和の宿 ホテル祖谷温泉
ときには行き違いも難しい山道の長時間ドライブは、自分で感じている以上のストレスが心身にかかるもの。祖谷地方を周遊するときは、あらかじめ宿泊場所を選んで予約しておき、なるべく一泊二日以上のスケジュールを組むことをおすすめします。

そうすれば奥祖谷の二重かずら橋はもちろん、大歩危峡まんなかで観光遊覧船に乗ったり道の駅 大歩危の妖怪屋敷や石の博物館まで余裕を持って回れます。

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『和の宿 ホテル祖谷温泉』には、素晴らしい展望風呂と露天風呂があるんです!
こちらの写真は2021年にリニューアルした2階の展望風呂『雲遊天空の湯-SORA NO YU-』。男湯、女湯ともに美しい祖谷渓の自然を大胆にガラス窓で切り取った贅沢な空間は、いつまでも入浴していたくなること請け合いです。

そして、こちらがロープウェーで下った先にある露天風呂。豊富に湧き出すアルカリ性単純硫黄温泉は、お湯の温度が体温より少し高い約38度とあって、熱い温泉が苦手な方も心ゆくまで堪能することができます。神経痛やリューマチ、美容や健康疲労の回復に最適だとか。

展望風呂と露天風呂は日帰り入浴もできるため、温泉を楽しんでから帰ることも可能ですが、夜道の運転を避けようを思うと、ゆっくりしてはいられません。 こちらの記事では、客室や料理なども紹介しています。ぜひ祖谷周遊の参考にしてみてくださいね。

瀬戸内Finderフォトライター 重藤 貴志

※感染症対策に配慮した上で撮影を実施しています。

関連地域

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四国八十八ヶ所のスタート地点となる徳島県。東西を山に囲まれ、扇状に広がる徳島平野、その先に広がる瀬戸内海。海の幸、山の幸に恵まれ、新鮮な食材を楽しむことができます。また目を楽しませてくれるのは本場の「阿波踊り」。見て楽しむだけでなく、観光客も参加して楽しむことができるのも魅力の一つです。瀬戸内海が魅せる鳴門の渦潮や、秘境祖谷のかずら橋、大歩危峡の川下りなど、徳島の自然も満喫してください。

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