アート・文化

サステナブルを体感するランドマーク/GREENable HIRUZEN(岡山県真庭市蒜山)

サステナブルを体感するランドマーク/GREENable HIRUZEN(岡山県真庭市蒜山)

岡山県真庭市の高原リゾート地・蒜山(ひるぜん)。

大自然のパノラマが広がる蒜山エリアに、“サステナブル”を体感できる施設が誕生しました。その名は『GREENable HIRUZEN(グリーナブル ヒルゼン)』。
都市一極集中でコンクリートの箱に人を押し込むのではなく、地方の開かれた空間へ。「自然との共生」をテーマに作られたパビリオン『風の葉』がそのシンボルになっています。

東京から里帰りしてきたパビリオン『風の葉』

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『GREENable HIRUZEN』の中央に聳え立つCLTパビリオン『風の葉』。

「CLT(Cross Laminated Timber)」は、木材の繊維方向が直交するように板を積層接着した直交集成板で、中高層ビルが建てられる強度を持つといいます。
このCLTの取り組みを日本でいち早くスタートさせたメーカーが、ここ岡山県真庭市にあるのです。

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東京オリンピックでCLTを海外にPRするために隈研吾氏が設計監修したパビリオンが東京晴海に建てられましたが、オリンピックが1年延期になったため、その開催を待たずにCLTが作られた真庭市に里帰りしてきました。

昭和の建築物を象徴するコンクリートは役目を終えると解体して終わりになりますが、解体しても再生できる木造建築だからこそ、里帰りが可能だったそうです。

そのCLTパネルと鉄骨を組み合わせ、パネルが回転しながら上昇しているような形になっている『風の葉』。中には木漏れ日のような光が入り、風が吹き抜けていきます。

GREENableを学ぶ、真庭市蒜山ミュージアム

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GREENable HIRUZENには、パビリオン『風の葉』の他に、『真庭市蒜山ミュージアム』と、ミュージアムに併設された『ショップ』『サイクリングセンター』があります。

GREENable(グリーナブル)とはGreenとSustainable(サステナブル、持続可能)を掛け合わせた造語で、このミュージアムではその思想を学ぶことができます。

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真庭市蒜山ミュージアムは小さなミュージアムながら、内容がギュッと詰まっています。ミュージアムとショップになっている建物もCLTで作られ、晴海から移築されたものだそうです。

GREENableな逸品に出会う

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ショップにはGREENableのコンセプトに沿ったサステナブルを体現するような品が並びます。
今までは廃棄になっていた物を上手に再利用したり、手間はかかるけど自然の素材を使って丁寧に作られた物などです。

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この赤酢・すし酢は河野酢味噌製造工場が御前酒の酒粕を長期間熟成させて作ったもの。酒粕は廃棄や肥料になっていましたが、新たな価値を持ち生まれ変わりました。
阪急阪神百貨店と一緒に商品開発を行っており、ラベルは真庭に生息する植物や生物がモチーフになっています。

圧巻!天井が迫ってくる茅葺

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自転車を借りられるだけでなく、観光案内所にもなっている『サイクリングセンター』。蒜山観光の際には自転車を借りなくてもサイクリングセンターに立ち寄って情報を得るのも◎ですね。

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迫ってくるような茅葺には、「圧巻」の一言。きれいに刈り込まれた茅葺を間近で見るのは初めてです。長く日本家屋の屋根に利用されてきた茅葺は、雨風に晒され傷みが早く、維持するには相当なコストと労力が必要となりますが、天井の茅葺は傷む心配がありません。

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風の葉の中と入り口付近の道路にあるマンホールがデザインされたマンホールカードをもらってきました。なんとカウンターも茅葺です。

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ショップの屋上からは「蒜山三座」と呼ばれる上蒜山・中蒜山・下蒜山の稜線、『ひるぜんワイン』の原料となるヤマブドウ畑、パビリオン『風の葉』、高原のレジャー施設『ジョイフルパーク』の観覧車が眺められるという位置関係。

地球規模での環境変化が起こっている今、雄大な自然を眺めながら、本当のサステナブルとは……と考える一日も良いかもしれません。

瀬戸内Finderフォトライター 沢坂 千晶

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岡山県

旅に出たとき一番気になるのはお天気ではないでしょうか。日本で一番雨の日が少ない、「晴れの国」岡山県。瀬戸内海特有の穏やかな気候は、農業や産業だけでなく岡山の文化も育ててきました。江戸時代からの町並みを残す美観地区、made in japanのジーンズが注目される繊維の街。鷲羽山から雄大に延びる瀬戸大橋や、牛窓から見下ろす瀬戸内海は息を飲むほどの美しさです。まさにハレの気分で岡山を歩いてみてください。