海・自然
大自然の渓谷トレッキングも満喫できる、兵庫県の滝ベスト6選!/布引の滝、天滝、原不動滝、猿尾滝、吉滝、黒滝
①都会のオアシス! 布引の滝と布引渓流(神戸市)
布引の滝(ぬのびきのたき)は、神戸市の中心部からやや北方に位置する布引渓流にある瀑布群の総称で、『日本の滝100選』に選定されています。
主爆は雄滝(おんたき)で、落差43m。一般に“布引の滝”といえばこの滝を指すことも多いです。
驚きなのは、この自然あふれる滝が、都会のすぐ近くにあること!
雄滝の上へ歩いて登っていくと、神戸市街を間近に見下ろせる展望地があり、ビル群の背後に瀬戸内海や海上を行く船も見えます。
神戸は市街地のすぐ背後に山が迫る地形で、都会からいきなり自然豊かな森の中へ入っていけるのです。
新幹線の『新神戸駅』から、北に500mほど歩けば、本格的な滝巡りのトレッキングコースが始まります。
最初に見えてくるのは雌滝(めんたき)で、落差19m。
続いて、雌滝のやや上流にある鼓ヶ滝(つつみがだき)は、落差8m。
木の葉で少し隠れていますが、右側に見える白い筋が鼓ヶ滝で、水が激しく飛び散って虹がキレイに見えています。
さらに歩いていくと夫婦滝が見え、そのすぐ背後に雄滝が流れ落ちています。
『布引の滝』はこれら雄滝・雌滝・鼓ヶ滝と夫婦滝の4つの滝の総称なのです。
また『布引渓流』としても環境省の『名水百選』に選ばれていて、渓流沿いに複数の滝が見られるハイキングコースとして人気があります。
雄滝の上流にもコースは続いていて、『猿のかづら橋』と呼ばれる橋が架かっています。
大秘境として知られる徳島県の 祖谷渓(いやけい)にも似た雰囲気で、都会のすぐ近くにいることを忘れてしまいそうです。
さらに上流に歩いていくと、『布引五本松ダム』が見えてきます。
実はこのダムは明治33年(1900年)に日本で最初に造られた重力式コンクリートダムで、国の『重要文化財』に指定されており、『ダム湖百選』にも選ばれています。
布引渓流は、本格的な滝巡りを楽しんだり近代建築遺産を見学できる、まさに都会のオアシスです!
②天から降り注ぐ聖なる滝!? 天滝と天滝渓谷(養父市)
天滝(てんだき)は、まさに天から降り注ぐかのように流れ落ちる落差98mの大瀑布で、『日本の滝100選』に選定されています。
天滝は滝そのものだけでなく、滝へ至るルートも魅力の一つです。
天滝渓谷の入口にある駐車場から、渓流沿いの登山道を約1.2kmほど登っていかねばなりませんが(片道約45分)、よく整備されていて歩きやすいトレッキングコースです。
最奥地にある天滝に至るまで、糸滝(いとだき)、夫婦滝(めおとだき)、鼓ヶ滝(つつみがたき)など大小7つの滝があり、森林浴も楽しみながら心地よい水辺の風景を満喫できます。
赤い鉄橋の横を流れ落ちているのは鼓ヶ滝で、落差は約14m。
天滝渓谷は『森林浴の森100選』や『ひょうご森林浴場50選』にも選定されていて、マイナスイオンを感じながら快適に歩けるハイキングコースとしても人気があります。
鼓ヶ滝の先にはやや急勾配の登り道がありますが、そこを登りきると小さな社(やしろ)が鎮座していて、天滝はすぐ目の前!
実は天滝には弘法大師にまつわる伝説が残っており、弘法大師が仏教の聖地を求めて全国行脚した際に、天滝を聖地の有力候補の一つとしてピックアップしたそうです。ただ、周辺の谷を数えたら千に一つ足らなかったため、最終的に高野山を聖地に定めました。
天から降り注ぐかのような天滝の荘厳さを見ると、高野山に並ぶ聖地として称えられたのも頷けます。
天滝は、名実共に県下一を誇る名瀑です。
③滝見用の吊り橋から眺める!? 原不動滝(宍粟市)
原不動滝(はらふどうだき)は、ブナやモミなどの原生林に覆われた岩肌を3段に分かれて滑り落ちる段爆で、『日本の滝100選』に選定されています。
落差88mを3段に分かれて落下する男滝と、男滝の最下段部の滝壺で合流する女滝が左脇にかかっていて、原不動滝はそれらの滝の総称です。
先ほどの写真で、滝の下段部にワイヤーロープが見えていましたが、実は原不動滝は滝見用の吊り橋『奥かえで橋』の上から眺めるという、ちょっと珍しい滝。
橋脚には鐘がぶら下がっていて、訪れた記念に鐘を鳴らして橋の奥へ進んでいきます。
橋をしばらく進んでいくと、右手に原不動滝が見えてきました。
周辺の原生林には、モミの針葉樹やブナ・モミジなどの落葉樹が多く、秋には紅葉名所としても人気があります。
原不動滝は、駐車場から約10~15分ほど歩くと眺望ポイントへ行けます。
天滝に比べればかなり短いコースですが、吊り橋は途中にも何本か架かっていて、冒険気分を味わえますよ。
遊歩道の入口付近には滝の名称の由来となった『不動堂』も鎮座します。
周辺には、キャンプ場・コテージ、観光りんご園などもあり、アクティビティが豊富な滝です。
④不思議な自然のアートを堪能! 猿尾滝(美方郡)
猿尾滝(さるおだき)は落差60mの段瀑で、『日本の滝100選』に選定されています。
岩肌を上下2段に分かれて流れ落ちていて、それぞれの落差は上段39m、下段21m。
下段の流れが“猿の尾”の形に似ていることが滝の名称の由来です。
猿尾滝は、駐車場から歩いて約5分ほどで滝壺まで行けます。
滝の下流には長くて平べったい岩盤があり、夏になると天然のウォーター・ライド(岩盤すべり)を楽しむ子供も。
また江戸時代には、藩主が猿尾滝で“そうめん流し”を楽しんだと伝えられます。
その逸話にちなんで、毎年7月の第2日曜日には『猿尾滝まつり』が開催され、竹を用いて滝の水を導き、遊歩道に沿って長い長い“流しそうめん”が設置されます。
遊歩道の途中に分起点があり、猿尾滝の上段にも登っていけます。
上段はゴツゴツした岩肌が特徴で、よく見ると、滝の中ほどに自然にできた石仏があるのだとか!?
見る人によって観音様や仏様、マリア像、髪を洗う女性、岩ザルなど、いろんな自然の造形(アート)が見い出せるそうです。
あなたは何が見えますか?ぜひ現地で確認してみてください!
⑤裏見ができる神秘的な滝! 吉滝(美方郡)
滝を裏側から見たことがありますか?
吉滝(よしたき)は滝の背後に回りこんで、裏側から滝を見られることから『裏見の滝』とも呼ばれる、珍しい滝です。
駐車場から吉滝までは、歩いて約10~15分ぐらいの道のり。
自然豊かな森の中に遊歩道が整備され、森林浴も楽しみながら滝へ向かいます。
吉滝は上段23m、下段5m、合計落差が28mの滝で、滝つぼの背後にある空洞の中に『吉滝神社』が鎮座します。
吉滝の背後にある岩盤は、約300万年前の火山活動で流れ出した溶岩(安山岩)でできており、風雨による侵食が進んで空洞となりました。
そのため、滝の裏側へまわり込めるようになっていて、別名『裏見の滝』と呼ばれます。
また、滝の左右にある岩盤の割れ目から、金滝(右側)と銀滝(左側)も流れており、金粉や銀粉がきらめいているように見えます。
午前中に訪れると吉滝に太陽光が当たり、滝が神々しく輝きます!
滝の周辺にはスギ、トチ、ケヤキ等の巨樹がよく繁茂していて、これらの原生林が神聖な雰囲気をかもし出しています。
実は、滝の裏側に鎮座する吉滝神社は良縁のパワースポットとして知られ、カップルで吉滝に来てこの神社にお参りすると恋愛が成就するらしいですよ♪
吉滝は、神秘的な“裏見の滝”です!
⑥兵庫のナイアガラ!? 大迫力の黒滝(三木市)
黒滝(くろたき)は、落差は4mとさほど高くないものの、横幅が30mほどあり、巨大な一枚岩から川幅いっぱいに水が流れ落ちる様は豪快そのもの。
その姿から“兵庫のナイアガラ”と呼ばれることもあります。
黒滝は、兵庫県南東部を流れる加古川水系の美嚢川(みのうがわ)にかかる滝で、周辺はのどかな田園地帯が広がり、山田錦などの酒米の産地となっています。
近くに駐車場がないため、少し離れた『山田錦の館』の駐車場に止め、東へ約700mほど歩くと滝が見えてきます。
黒滝は正面から眺めるよりも、水が流れ落ちる横側から見るほうが迫力があります!
水量が少ないときは反対側に回り込むこともでき、普段とは違ったアングルで見られますし、厳冬期には全面氷結した幻想的な姿も見られるそうです。
黒滝は、訪れる時の条件によって、多様な姿が楽しめる豪快な滝です!
兵庫県を代表する名瀑を6つご紹介しました。
いずれの滝も比較的アクセスが容易で、歩道もよく整備されているため安全にたどり着けます。
単に目的の滝を見るだけでなく、滝に至るまでの行程や渓谷美を満喫したり、滝にまつわる歴史や伝承などを学べることも滝巡りの楽しみの一つではないでしょうか。
ぜひ、兵庫県の滝を巡る旅に出かけてみてください!
瀬戸内Finderフォトライター 松岡広宣
関連地域
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瀬戸内海と日本海の2つの海に面し、中央には中国山地が延びる兵庫県。古くから貿易の拠点として発展してきた商業地と豊かな自然が残る兵庫県は、観光地としての見所も数多く存在します。異国文化漂う神戸の町並み、白く輝くように美しい姫路城、せとうちの海で大きく育った明石のタコや、四季の花々を楽しむことができる淡路島。買い物、温泉、歴史や文化、そして自然。どれをとっても一級品の旅が楽しめる場所です。