歴史
今すぐ行きたい姫路観光の目玉、威厳あふれる国宝天守へ/世界遺産・姫路城(兵庫県)
よみがえった白鷺城
鉄砲攻撃による延焼を防ぐために用いた『白漆喰総塗籠造(しろしっくいそうぬりこめづくり)』の工法により、姫路城は大空に翼を広げたシラサギに例えられ、『白鷺城(はくろじょう、しらさぎじょう)』とも呼ばれます。
天守閣の壁だけでなく、窓格子、軒裏、垂木、屋根目地に至るまで防火防水性のある白漆喰で塗り固められているため、確かに城は真っ白です。
その白さが特に際立っていたのが、約6年がかりの『平成の修理』が終わった2015年頃。この修理では、耐震補強に加え、屋根瓦をふき直し、白漆喰を塗り替え、防カビ剤を塗布するなど劣化を遅らせる新たな対策も施されました。
大天守をすっぽりと覆っていた素屋根(すやね)が取り除かれ、その新しい姿を披露したときには、大きな話題になりました。
築城当時と同じ真っ白な大天守が見られるのは50年ぶりとあって、くすんだ灰色の大天守に慣れきっていた市民からは、「これじゃ ”白すぎ城” だ」という声も上がったんだとか。
姫路城歴代城主13氏・48代が紡いだ物語
姫路城のはじまりは1300年代に赤松氏が姫山に築いた砦であると言われ、戦国時代には黒田官兵衛、羽柴秀吉らが城主だったことで知られています。
江戸時代に入ると、徳川家康の娘婿であった初代姫路藩主・池田輝政が城郭を大改築し、現在の姿に近い姫路城が完成しました。池田氏の狙いは、美しい城を築くことで周囲を圧倒し、大坂城と西国大名ににらみを効かせるとともに、城と城下町が一体となった豊かな国をつくることにありました。
その後も幕末まで姫路城のあるじは目まぐるしく入れ替わり、赤松氏から数えると13氏48代が城主を務めたのだそう。
ARで江戸時代にタイムスリップ
姫路城を訪れると、白く輝く存在感の大きさに目を奪われがちですが、姫路城の見どころは、もちろん美しい外観だけではありません。5重7階(地上6階地下1階)の大天守に入ると、写真にうつる武具掛けのほかに、石落としや伏兵を配置する武者隠しなどから、姫路城の固い防御構造がうかがえます。
天守、櫓、土塀には全部で1000ヶ所に近い数の狭間(さま)が残されています。狭間は鉄砲や矢を外に放つための穴で、丸、三角、正方形、長方形の4種類があります。こうした見どころについて知りたい人は、スマートフォン(スマホ)に『姫路城大発見』アプリをダウンロードしておくのがおすすめ。敷地内の『AR(拡張現実)ポイント』でスマホをかざすと、まるで築城時にタイムスリップしたかのようなシーンが目の前で再現されて、思わず「なるほど!」とうなってしまいます。
時間が許せば、大天守だけでなく、千姫にゆかりのある西の丸もぜひ巡ってみてください。百間廊下や化粧櫓は見逃せません。
桜と姫路城、紅葉と姫路城もおすすめ
姫路城はいつ訪れても魅力の尽きないスポットですが、その輝きが増すのが春と秋。
三の丸広場の桜並木が淡く色づく頃、そして銀杏の黃と紅葉の赤が燃えるような季節には、色彩豊かな自然に文字通り囲まれて、姫路城は一段と美しい姿を見せます。
夏の暑い日には夕涼みに姫路城を散策し、日没後にライトアップされた姫路城を眺めながら夜の街歩きもいいですね。
姫路駅北口を出るとシラサギの姿はもう目の前。新幹線で弾丸訪問もできますから、何度も訪れて、少しずつ街並みになじんでいく白鷺城の変化を味わえたら理想的です。まだまだ白い姫路城に、圧倒される旅に出かけませんか。
瀬戸内Finder フォトライター 堀まどか
関連地域
兵庫県
瀬戸内海と日本海の2つの海に面し、中央には中国山地が延びる兵庫県。古くから貿易の拠点として発展してきた商業地と豊かな自然が残る兵庫県は、観光地としての見所も数多く存在します。異国文化漂う神戸の町並み、白く輝くように美しい姫路城、せとうちの海で大きく育った明石のタコや、四季の花々を楽しむことができる淡路島。買い物、温泉、歴史や文化、そして自然。どれをとっても一級品の旅が楽しめる場所です。