体験
レンタサイクルでパワーチャージ旅! 笠岡の島めぐり/北木島・白石島(岡山県笠岡市)
広島・大阪からのプチ旅行に笠岡へ
岡山県笠岡市沖に浮かぶ、31の島々からなる笠岡諸島は、瀬戸内で初めて訪日観光客に開かれた島であることをご存じでしょうか。
7島ある有人島の1つ、白石島に行けばそれが分かります。
1988年、白石島には本当の日本を体験したい外国人旅行客のために『国際交流ヴィラ』が建てられました。彼らが島民と交流し、日本の伝統に触れられる魅力的な宿泊施設です。
日本人も、外国人と一緒であれば利用できます。
英語で十分な情報が提供され、10年以上前からウェブ上での存在感が高まったおかげで、国際交流ヴィラには外国人が集まるようになりました。
白石島に惹かれ、この開かれた日本文化の発信地を毎年訪れる常連客もいるほど。
笠岡諸島には橋が一切かかっていません。
そのため、大規模な観光産業が興らず、島の伝統とのんびりした魅力が大切に守られています。
車は少なく、団体の観光客を目にすることはほとんどありません。
親切な地元住民と挨拶を交わし、豊富な(実質)プライベートビーチを堪能する。笠岡の島をめぐる醍醐味です。
ここで、サイクリング好きに朗報!
瀬戸内クルージングが運営するフェリー『金風呂(かなふろ)丸』では自転車を貸し出しているんです。
笠岡伏越港で乗船すれば、寄港先の白石(しらいし)島・北木(きたぎ)島ではレンタサイクルで観光ができておすすめ。
島めぐりはフェリー&レンタサイクルで
まず船内で自転車を選び、レンタサイクルを申し込みます。
車体のスタイルは数種類あって、子ども用の自転車も用意されています。
料金は1日(金風呂フェリーの始発から最終便まで)500円。加えて、返却時に返金される保証料が1,000円かかります。
『サイクルマップ』を忘れずにもらいましょう。
北木島:石と美しい漁港の島
フェリーの着く金風呂港か豊浦港から時計回りに、海岸線をぐるりと囲む道を進んでいきます。
人口約950人の北木島は石の生産・加工で知られ、現役の丁場も残っています。
北木島の花崗岩は、徳川幕府によって再築された大坂城をはじめ、福山城の石垣、明治神宮神宮橋、靖国神社の大鳥居に用いられた実績があるんだそうです。
海岸沿いの道は県道なので、もちろん舗装されていてサイクリングに最適。
アップダウンが少なく、小さな漁港や砂浜を眺めながらのんびり移動できます。
静かな島の生活を楽しむ野鳥や生き物も多数います。
北木島港(大浦港)から島の南側まで4kmほどのなだらかな丘になっていて、それを抜けると丸岩港に出ます。ここで県道は行き止まりに。
夏には、さらに自転車・バイク通行可の細い山道をのぼり、高台から素晴らしい景色を楽しむことができます。
入り口が少しわかりにくいですが、丸岩バス停付近で右手に入る道を探してください。この小道が島の裏側を通って金風呂港につながっています。
山間の上り道はハードすぎる……と感じるなら、県道を引き返してもOK。
北木島は静かなぶん、レストランや文化施設が少ないので、島めぐりをするなら14時に金風呂港を出るフェリーに遅れないように戻りましょう。
次の目的地は目の前に見える白石島!
白石島:国指定名勝のビーチリゾート
人口約580人の白石島には、およそ30分で到着します。
白石島は海水浴場で知られる、笠岡諸島随一の観光地です。
延長500mに及ぶ白い砂浜が美しく、夏場は賑やかな雰囲気に包まれます。
海の家あり、外国人が集まるおしゃれなビーチBARあり、レンタルカヤックあり。
とはいえ、決してビーチが混雑しすぎることはありません。
毎年お盆(8月13日~16日)におこなわれる白石踊りは、何種類もの踊りを同じ輪で同時に踊る珍しい盆踊りで、その起源は約800年前に遡るとも言われます。
また、8月最終土曜日に行われる『日本一小さな花火大会』は手作り感あふれるステージ&花火で大人気。毎年この日を楽しみに訪れる人もたくさんいます。
白石島にはその名の通り花崗岩の奇岩や巨石が多く、島の西側を1周する6kmの間に、美しい海と石の織りなす迫力の景観が目に飛び込んできます。
車に遭遇することはほとんどありません。
険しめの難所が3箇所あるものの、45分ほどあればぐるりと島を見て回れます。
難所とは言っても、のぼる価値のある絶景が待っているのでご心配なく。
サイクリングを終えたらビーチで一休みして、その日のうちにフェリーか定期旅客船で笠岡に帰ることもできます(フェリーに乗り遅れると帰れなくなってしまうので時刻表をしっかり確認してくださいね!)。
でも、おすすめは1泊して水平線に沈む夕陽と夕食をのんびり楽しむこと。
外国人の友達と白石国際交流ヴィラに泊まるなら、料金は1人1泊3,500円(2名1室利用の場合)です。
国際交流ヴィラは小高い丘の上に建っていて、お部屋からはもちろん海が望めます。
簡易なキッチンがあるので、希望すれば食材を買って自炊することも可能。
借りた自転車は翌日まで使ってから、船上で返却すれば問題ありません。
追加の1日料金500円を支払いましょう。
笠岡港と笠岡諸島を結ぶフェリーは複数の会社によって運航されています。
しかし、今回紹介したレンタサイクルは、金風呂丸フェリーでしか借りられません。
もし自分の自転車で島めぐりをしたい人は、すべてのフェリーや定期旅客船に自転車を有料で持ち込めるので、交通手段の選択肢が増えます。
自転車旅をするときは、自転車で乗船すると乗船料が割引になる『せとうちサイクルーズパス』を入手するとお得です。
時間が許せば、北木島の南東に位置する真鍋島にも足を伸ばしてみてくださいね。こちらは『猫の島』としても知られる島です。
瀬戸内Finderフォトライター エイミー・チャベス
翻訳ライター 堀まどか
関連地域
岡山県
旅に出たとき一番気になるのはお天気ではないでしょうか。日本で一番雨の日が少ない、「晴れの国」岡山県。瀬戸内海特有の穏やかな気候は、農業や産業だけでなく岡山の文化も育ててきました。江戸時代からの町並みを残す美観地区、made in japanのジーンズが注目される繊維の街。鷲羽山から雄大に延びる瀬戸大橋や、牛窓から見下ろす瀬戸内海は息を飲むほどの美しさです。まさにハレの気分で岡山を歩いてみてください。
