歴史
引田(ひけた)の町並みが雛人形で華やぐ『引田ひなまつり』/ 讃州井筒屋敷(香川県東かがわ市)
引田の古い町並みにある豪商の屋敷
香川県の最も東に位置する引田(ひけた)は瀬戸内海に面した町で、地形的に風が遮られる場所だったため平安時代から『風待ちの港』と呼ばれ、天然の良港として知られていました。そして江戸時代には醤油醸造が盛んになり、回船問屋や豪商も現れるほど隆盛しました。
『讃州井筒屋敷(さんしゅういづつやしき)』はそうした豪商の屋敷跡の一つで『引田の古い町並み』の一角にあります。現在は商家(旧佐野家)をリニューアルした観光施設となっていますが、建物は江戸後期~明治期に建築された貴重なもので、往時の趣をそのままに残しています。
屋敷の門をくぐると広場があり、その周りを複数の蔵が取り囲んでいます。各蔵には観光案内所や和食処・特産品を販売するコーナーなどが設けられていますが、ひな祭り期間には仮設テントの露店も出て賑やかな雰囲気!
写真の左側に見えているのが中核施設である『母屋』で入館料が必要ですが、毎年ひな祭りの期間(2017年は2月11日~3月20日)には特別展示『雛人形展』が実施されます。
母屋全体が雛人形で飾りたてられる!
母屋は旧佐野家の住居跡で、居間や奥座敷・帳場などが当時の雰囲気のまま残っているのですが、雛人形展の期間はこの母屋全体が様々な雛人形で飾りたてられます。
こちらは郷土の豪華な雛飾りで『引田飾り』と呼ばれるもの。地元の職人さんが制作した比較的新しい雛人形です。
広い敷地面積を誇る母屋全体が雛人形の展示場となっていて、中には江戸時代~明治・大正期の貴重な雛人形も見られます。
このように幾つも連なる座敷の各部屋に、旧家に伝わる江戸後期の内裏雛や道具、明治時代の御殿飾りなど、様々なお雛様を展示しています。やや急な階段を登った先にある屋根裏部屋にも可愛いお雛様がいますのでお見逃しなく!
このほか奥座敷へ通じる通路脇には中庭もあり、庭に降りて散策することもできます。奥座敷にももちろんお雛様が展示されていますよ。
引田の町並みも雛人形であふれかえる!
引田では讃州井筒屋敷の周辺にも江戸~明治期に建築された古い町並みが見られます。
毎年2月下旬~3月3日ごろの約1週間にわたって『引田ひなまつり』が開催され、まさに町全体が雛人形であふれかえります。
こちらは『煙突広場』にあるお雛様。毎年『引田ひなまつり』で最大級の規模を誇る雛人形が見られる場所です。
引田の古い町並みを中心に商店街全体が豪華で趣向を凝らした様々なお雛様であふれかえり、なんとその展示総数は約70ヶ所! 全て見て回るのに半日ぐらいかかります。
母屋全体がお雛様で飾りたてられ、江戸時代の佇まいを今に伝える商家がもっとも華やかに演出される3月。
引田へお越しの際は、ぜひお立ち寄りください!
瀬戸内Finderフォトライター 松岡広宣
関連地域
香川県
瀬戸大橋を介して本州と四国を繋ぐ四国の玄関口、香川県。県民のソウルフードとして親しまれている「讃岐うどん」は、県外からも多くの観光客を集めています。歴史的な観光資源と個性豊かな島々に恵まれてているのも特徴。ミシュラン・グリーンガイド・ジャポンで三ツ星を獲得した「栗林公園」、長い石段で有名な「金刀比羅宮」に加え、どこか地中海を思わせる美しい小豆島の他、せとうちの風景と現代アートを融合させた取り組みも人気を博しています。